「皮膚の役割、働き、メカニズム

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【皮膚のお話】

「正常な皮膚は弱酸性」

正常な皮膚(頭皮)表面は「弱酸性(ph4.5~ph6.5)」であります。また、表皮の最外層の角質層(ケラチン蛋白質)が弱酸性であるのと同時に、汗腺と皮脂腺からは汗(水分)と脂(油)を分泌し、皮膚表面でほどよく乳化されて天然のクリームともいうべき「皮脂膜(バリヤゾーン)」を形成するわけです。これによって皮膚表面は弱酸性に保たれています。

この皮脂膜は、主に以下のような働きがあります。

1:皮膚表面での細菌の繁殖や内部への侵入を防ぐ

2:紫外線を防ぐ

3:皮膚表面の水分の蒸発を防ぐ

という重要な働きをして肌を守っています。健康な肌では、アルカリなどが肌にふれたときなど一応自然にもとどうりになる働き(中和能)をもっていて正常な弱酸性の状態に戻りますが、この能力が低下して、常にアルカリ性の状態になりますとその結果、細菌類に対しての抵抗力もなくなり、かぶれやすく、弱酸性肌の人に比べて日焼けもしやすくなるなどいろいろな皮膚トラブルをおこす原因となります。

「皮膚は排泄器官」

皮膚は皮脂や汗の「排泄器官」であります。基本的に「異物(栄養素・化学物質などの添加物)」を吸収するようにはできていません。

「皮脂膜(バリヤゾーン)」で、皮膚表面から入ってくるものをシャットアウトする仕組みになっています。汗腺や毛孔から吸収される場合もありますが、基本的にはバリヤゾーンでくいとめられることになります。

但し、重金属、スルファミン(分子量の小さい物質)、色素、ステロイド、特に鉱物油などは吸収されます。また、身の周りには驚くほどのいろいろな菌がいますが、それらの菌もバリヤゾーンでくいとめられ、皮膚の奥に入っていくことはなく、せいぜい皮膚の表面にとどまるにすぎません。

そんな仕組みを持っている皮膚にビタミンC、E、栄養素を配合したクリームや化粧水などをつけても、あまり効果は期待できません。必要以上につけますと、皮膚の分泌機能が衰えて皮膚トラブルになりがちです。

また、皮膚表面は弱酸性ですが、体内は健康状態のときは「弱アルカリ性」に保たれています。

そして、摂取した栄養素がたえず燃焼していますので、その燃焼によってともすれば酸性に傾きがちです。これが持続しますと体内に変調をきたします。そのために余分となった酸は尿と一緒に排泄します。さらに皮膚表面からは、汗と皮脂になってどんどん体外に排泄されるわけです。

また「角化=皮膚細胞が再生するサイクル(ケラチ二ゼーション)」によって古くなった角質層(フケ・垢)も、健康であれば自然にはがれ落ちていきます。
以上のようなメカニズムで、皮膚表面は絶え間なく新陳代謝が営まれています。また、ここで出てきました「異物(栄養素・化学物質などの添加物)」のことについても少しだけふれてみたいと思います。以下の「指定成分表示・全成分表示」をふまえて次項の「洗髪と洗髪料のお話」をご参照くだされば、よりご理解いただけることと思います。

「指定成分表示・全成分表示」

「指定成分表示・全成分表示」のお話の前に、まず、避けては通れない「添加物」というものについてのお話を簡単にさせて頂きます。

そもそも添加物とは、防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、殺菌剤、湿潤剤、紫外線吸収剤など、その製品の品質を保つ上で必要不可欠なものを指します。

中には素晴らしい効果を発揮するものもありますので、一概に良いか悪いかはいえませんが、それらの成分中で「表示を明記することが義務づけられているもの」を「表示指定成分」といいます。

例えば化粧品(シャンプー・トリートメント・スタイリング剤)に対して表示を義務づけられている物の中でよく見かけるものは、パラベン(防腐殺菌剤)・香料(賦香剤)・安息香酸(防腐殺菌剤)・エデト酸塩(キレート剤・酸化防止剤)・ソルビン酸(防腐殺菌剤)などがあります。
これら以外にも、化粧品(シャンプー・トリートメント・スタイリング剤)に対して表示を義務づけられている成分は現在103種類(香料含む)あります。
それらの成分が配合されている化粧品を使用することで個人差(大きい小さい)はありますが、「ごくまれにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある成分」として厚生労働省が指定、表示を義務付けられているものであります。

なんらかの反応(アレルギー反応)がある成分ですので、過去に皮膚障害をおこしたことのある注意しなければならない、つまりアレルギーを引き起こす可能性がある成分とされています。

ただ、指定成分も全く無意味に配合されているわけではありませんが、化粧品(シャンプー・トリートメント・スタイリング剤)も一言でいえば、化学物質をねりあわせただけのものです。

中には、表示する必要のない成分でも同じような作用をする成分もありますので、皮膚障害の起きる可能性のある方は、指定成分表示には注意が必要です。
ここまでが「指定成分表示」 についてのお話ですが、2001年から、今までの「指定成分表示」」が廃止され、新しく「全成分表示」というものが実施されています。
つまり、その製品に含まれるすべての成分を記載していこうとするものです。ですから、今まで表示する必要のなかった成分もすべて表示記載されます。ただし、カラー剤や育毛効果を訴える製品など、医薬部外品(日本独自)は今回の改定では適用除外とされていますが、最近ではメーカー側も自主的に表示するようになってきました。

また、全成分表示になることで企業(メーカー)の情報をより多くお客様にご提供できることになり、自分の好みの成分が配合されている商品を選んだり、万一トラブルが起きてしまった場合でも、その要因を皮膚科専門医が判定しやすくなり、以後注意して購入ができ、事前にトラブルを避けることができます。

このようにして、お客様が実際に使われるヘアケア商品について、正しい知識を得ることで今後、商品選択の幅が広がるのではないかと思います。
化粧品成分ガイド  化粧品選び
続いて「洗髪と洗髪料のお話」 をご参照ください。